鷄毛雜記

趣味と日々の雑感の記録。読書忘備録、手芸、人形等々の事どもについて。

民藝趣味(1) 家具の手入れ

以前、NHKの或る番組で“最近民藝が再び注目されている云々”と言うようなことを放送しておりました。私は「そうかなあ…?」と俄には信じ難い思いでした。

私自身は、まま民藝好きな方かと思います。以前家に遊びに来た友人が我が家の調度を見て「民藝喫茶~~だね。」と云ったことがあります。松本民藝家具と藍染めの敷物や掛け物、それに厚手の染め付けの器等が揃うと“民藝趣味”と認定されるのかも知れません。

若い頃に「転勤のあるうちは良い家具を買わぬが好い」と聞いたことがあります。成程その通りではありますが、そうなると我が家では夫の定年まで“傷ついても構わないような間に合わせの家具”で生活することになり、大層味気ないことです。従って、好きな調度に囲まれて暮らしたかった私は、20数年の間に、松本民藝家具と共に七度の引っ越しを経験することととなりました。

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今回の引っ越しにて、梱包前の家具。食器や書籍などを出してしまうとまるで倉庫に並んでいるような眺めです。

さて、引っ越しをするとどうしても家具に埃などの汚れが付着してくすんでしまいます。そこで暇を見ては少しずつ手入れをしております。具体的にどうするのかと申しますと、表面の汚れを拭き取った後、天然の植物油を塗布するだけのことですが。

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使用する物は、右から晒しの布、爪楊枝、椿油、ガーゼ、です。

先ず、固く絞った晒しの布で表面の汚れや水の痕などを拭き取ります。

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細かい部分は晒しを爪楊枝に巻き付けて拭きます。

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その後、ガーゼ布に少量の椿油を付けて全体に満遍なく塗布します。一度にべったりと塗るのではなくごく薄く木目に沿って軽い力で磨いてゆきます。(写真がピンボケなのは右手で拭きながら左手で撮影したからです。)

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細かい装飾の部分はガーゼを爪に引っかけるようにして磨きます。

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お手入れ後。写真ではあまり分かりませんが艶が蘇ったように思います。上手に油膜が出来ますと普段はから拭きだけで充分になります。

家具の手入れは確かに手間ではありますけれど、私は何時の間にか我を忘れて作業と一体化するような一時に充足感を覚えるのです。