鷄毛雜記

趣味と日々の雑感の記録。読書忘備録、手芸、人形等々の事どもについて。

桜花に寄せて

桜花酣の季節です。

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先日所用の為伏見方面へ出掛けた折りに、道すがら見掛けた桜花爛漫の光景です。

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さて、数年前インターネットで香港のラジオ放送を聴いておりましたら、私と同世代と思しき主持人(司会者)の方が“日本旅行の醍醐味は京都の桜と札幌の雪祭りを観ること”といった主旨の話をされていました。私は、成程京の桜というものは観光に於ける世界的名牌(ブランド)なのだなあ、と感心致しました。

私自身、歳寒三友にも四君子にも入っていない桜花を殊更に愛でる趣味はありませんが、何かの折に思い掛けず満開の桜花に出合えば、やはり華やいだ心持ちがするのも事実です。

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桜が無いことで知られる東福寺。塔頭の塀越しに見付けた桜花の眺め。この花喰鳥はヒヨちゃんでしょう。

桜の品種は多々ありますが、個人的には山桜と大島桜が好きです。一斉に咲き一斉に散る染井吉野に負の聯想を掻き立てられるのとは対蹠的に、花と葉が一緒に開く種の桜には一種清新な生生不已のことわりを見る思いがするからです。

以前、熊本方面を旅行した時、小天から山越えして熊本市内へ向かう峠の道で、山の樹々の中に存在感を示す山桜の姿を眼にして、心躍るものを感じました。漱石の『草枕』への聯想も重なり、それは私の心中に一つの意境となって残されております。然し残念ながら今年は山桜には出合っておりません。

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家の近くにある大島桜。

名所ではない「京の桜」を御紹介致しました。