鷄毛雜記

趣味と日々の雑感の記録。読書忘備録、手芸、人形等々の事どもについて。

民藝趣味 (4)  やきものの器 その2

堅牢で実用的な民藝の器と言えば、砥部焼を思い浮かべる方も多いのではないかと思います。実の所、私が初めて購入した民藝のやきものは砥部のくらわんか手の飯椀でした。その時は何年か後に松山に住むことになろうとは思いも寄らぬことでした。

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この飯椀は丈夫なのは勿論のこと、使い勝手も良く、毎日使っていても全く飽きが来ない為、今日に至る迄二十数年間ずっと使い続けております。とは言え、後に松山に住まなければ、私の所有する砥部焼はこの飯椀きりで終わっていたかもしれません。

松山では多くの飲食店で砥部焼が使われており、至る所で砥部焼を販売しておりましたが、私は市内の至極便利な場所にある梅山窯の直売店が好きでした。うどん屋さんで使われるような定番の商品から、気の利いた意匠の新しい商品まで、豊富な品揃えの中から、贈り物に、自宅用にと選ぶのは楽しいものでした。

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民藝の器の好ましい所は、窯元の定番商品がずっと変わらず生産され続けていることだと私は思います。お気に入りの器が後々割れてしまったとしても、また同じ型の品を手に入れることは不可能ではありません。

一方、これが所謂作家物、或いは作家的傾向の強い窯元の器となりますとそうは参りません。

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松山在住中、東窯・大東アリンさんの器も度々購入しました。砥部焼らしい確かな造形と砥部らしからぬ淡い色彩、そしてお手頃価格が魅力的で、女性向きの贈り物として重宝しました。ところが、自宅用にはゆっくり好みの物を揃えて行けば好いと悠長に構えておりましたところ、意外に早く転勤となり(何しろ夫に辞令が出てから十日後には転居しているのですから)、結局このマグカップひとつしかありません。現在はこの型は生産されていない模様ですから実に惜しいことでした。

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こちらもこれきりしか持っていない蘇泥窯の器。青磁の色合いが気に入って盛岡で求めたのですが、それが光原社だったのか川徳デパートだったのか定かには憶えておりません。東北を離れてからは同じ窯印を見掛けることはありませんでした。

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こちらは一昨年ギャラリー巡りをした折に偶々夫が気に入って購入した品。北桑窯・伊藤五美さんの白磁です。

夫の申すには、昨年の個展では大分雰囲気が変わっていたとのこと。作家物の器は私に於いて偶然ある一時期好みが合えばやって来る一期一会の器と言えそうです。